どーもケータです。今日もディ・モールト楽しく料理してますか?
今日はサトウさんのリクエストによる英国風ポークパイです。
このパイは完成までに2日かかりますが、その労力に見合っただけの爆発的旨さが特徴です。まじでウマイ。
これをケータ流に失敗が無く作れるレシピで紹介したいと思います。
目次
英国伝統料理のポークパイってどういうもの?
豚肉を主な原料として作ったミンチをサクサクのパイで包んだ、中世の狩猟が盛んな時代から作り方が変わっていないパイ料理。
このポークパイ、英国では非常にポピュラーな料理の一つで、精肉店ではこのポークパイが惣菜として普通に売られています。このパイは英国人は大好きで結婚式のケーキの代わりに特大ポークパイを作っちゃったてカップルさえ居るほどです(笑)
ポークパイは冷やして食べるのが醍醐味
ポークパイの特徴はなんと言っても冷やしてから食べるという事。
冷やして食べるには理由があります。それはパイに豚の鼻やミミから取ったゼラチン分たっぷりなダシを入れ(フランス語でジュ・ド・ポールと言います。ジュは汁、ポールは豚の意味)、冷やし固めてあるからなんです。
フランス料理でジュレを型に入れて冷やし固めた料理をアスピックと言いますが、冷やして食べないとその固まったゼラチンのブリブリとした食感を楽しめなくなっちゃうから。
冷やして食べるってことは携帯するにも便利です。中世では狩猟に行く際にこのポークパイを持って狩りに行っていたそうですよ。
生地は練り込みタイプのパイ生地を使う
パイにはミルフィーユのような生地と油脂を何層にも織り込んで作るパイ生地と、今回のポークパイやのように生地と油脂を練りこんで作る練り込みパイがありますが、このポークパイは練り込みタイプの生地を使います。しかも、湯ごねタイプの練り込み生地だからかなり珍しいです。
油脂はバターではなくラードを使うのがこのパイの特徴です。
ぶっちゃけ、どちら生地使ってもこのポークパイは作れちゃうんですが、折り込みパイは温度管理が難しいので家庭で作るには練り込みパイを使うのが失敗ないです。しかもこのパイは焼いた後に豚から取ったスープを注ぐので食感が命の折り込みパイを使うメリットが無いので、練り込みパイを使うようにしましょう。そうしましょう。
それとラードは普段家庭で使うことが無くこの料理で使って余ったものは冷蔵庫の中で化石と化すのが目に見えているので、無塩バターを使うのが良いです。私のレシピはバターを使っております。
レバーを入れるのがケータ流のポイント
この料理は豚肉だけで作ってしまうと濃厚なゼラチンとパイの粉の味に中身のミンチが負けてしまうので、レバーを入れて生地やジュに負けない力強い味にするため少しレバーを入れてあります。
レバーが苦手の人でも入ってるのが分からない位の分量に調整したので、なんなく食べることが出来ます。
ジュ・ド・ポールも家庭作るには難しいので秘密兵器を用意
家庭で美味しい豚のジュを取るのは難しいので、秘密兵器を用意しました。
それは・・・・
クノールカップスープ オニオンコンソメ!!
これにゼラチンを入れるのがベストだと思います。ゼラチンは板ゼラチンが売っているので板ゼラチンを使いましょう。粉ゼラチンは使い方がちとクセがあるので板ゼラチンがベスト。お菓子用の食材を置いてあるコーナーに陳列されているので、是非イ〇ンなどの大型スーパーの製菓コーナーを見てみてください。
材料(直径 20cm大 1個分)
この料理はフードプロセッサーを使う工程があります。注意してください。すでに挽いてあるミンチを使わないのは食感を生かすためと、市販のミンチは配合がスーパーの企業秘密である部分が多いので、ババ(ハズレ)を引いてしまうことが多々あるためです。
■パテ
■練り込みパイ生地(クルート生地)
■クノールオニオンコンソメスープ(1人前に対して水200ml)・・・2人前
■板ゼラチン ・・・12g
■卵黄(生地接着用) ・・・1個
■艶出し用卵黄水 ・・・卵黄1と水大さじ1を溶いておく
作り方
1.豚バラ、豚肩ロース、豚背ロース、ベーコンをそれぞれ半分量を1cmのサイコロ状に切る。残りの半分量は2cm大の一口大に切っておく。冷えてるほうが脂も肉も締まっていて切りやすいので冷蔵庫から出したてのものを切るのがベスト。
2cm大に切った肉を全てボールに入れ、塩、チリパウダー、ニンニクみじん切りを入れ良く混ぜ合わせた後、ラップをして冷蔵庫で1日味を馴染ませる。1cmのサイコロ状にカットしたものは別のボールに入れラップをして1日冷蔵庫に入れてキープ。
2.鳥のレバーはレバーの部分とハツ(心臓)の部分とついている事が多いので、レバーとハツの部分に分けておく。
レバーにくっついてるこういう丸っこいやつがハツ(心臓)です。
ハツは包丁で切り込みを入れて開いた後チョロチョロ出した流水で中に入っている血の塊を丁寧に取り除く。ハツには血管と脂肪がくっついてますが、このポークパイでは取り除かなくても気になりません。
レバーも切り開いて血の塊があるようならハツと同様に取り除く。たまに深い緑の色に染まった部分があるかと思われますが、あれは胆のうが付いていた証拠。胆のうはとても苦いのでこの胆汁がついた部分があれば包丁で丁寧に削いで下さい。
レバーとハツを半分量の水で割った牛乳に浸して、冷蔵庫で生臭みと血抜きをする。30分~1時間も浸したら大丈夫と一般的には言いますが、作業手順上1と同様にラップをしてそのまま1日冷蔵庫で寝かすのがベストです。
3.練り込み生地を作る。ボールに薄力粉と塩を入れて混ぜ合わせておく。鍋に分量のバターと水を入れ、50℃まで温めたものを先ほどのボールに入れ練る。生地が一まとめにまとまったらラップをし、冷蔵庫で1日寝かせる。
ここまでが前日までの下ごしらえです。大変ですが頑張ってください。想像を超える味が待っています。
4.フードプロセッサーに全卵と、良く水分を切った鶏レバーとハツを入れ、ピューレ状になるまでよーくよーくかくはんする。ピュレ状になったら2cm大に切ってマリネした肉を入れてさらにかくはんする。ここで肉肉しい食感を味わいたい方は荒めに、滑らかな食感を楽しみたい方は細かめにかくはんすると良いです。
かくはんして出来たミンチと1cm大の角切りにした肉をあわせ、ブラックペッパー適量をボールに入れ、良くかき混ぜる。ここでしっかり粘りが出るまで練ってくださいね。
5.一日寝かせた練り込み生地の半分量を、麺棒で直径20cmの大きさよりも一回り大きい程度に伸ばす。
均一に伸ばしたい人は厚さ8mm程度の木の板を2枚購入してきて、ある程度生地を伸ばした後、板で生地を挟む形で配置し、めん棒で更に伸ばしていきましょう。
伸ばした生地に直径20cmのケーキ型を軽く押し当ててガイドを作っておきます。
生地の上にパンチングして空気を抜いたミンチを、ふち2cm残した状態で乗せる。このふちの部分に接着剤となる卵黄を塗り、かぶせた生地を接着するので、ふちを残さずギッチギチに乗せてしまうと焼いてる間に地獄絵図になります。
ここでミンチをしっかりとパンチングして空気を抜いておかないとミンチ中の空気が熱膨張して破裂する原因になるのでよくパンチングしてください。
このミンチの上から同様に薄く延ばした生地をかぶせて空気を押し出しながら生地でフタをします。
生地と生地を接着するために卵黄で生地同士を糊付けし、最後に表面に艶出し用の卵黄水を塗る。ふちの生地は飾りつけしてもいいし、生地が余っているようならドームの部分をデザインするのも良いですよ。
6.オーブンの天板を取り出しクッキングシートを敷き、その上に先ほど成形したパイを載せ、200℃に余熱したオーブンで30分ほど焼く。
30分ほど焼いたらオーブンの温度を150℃まで落とし、中心温度が55℃になるまで焼き、オーブンから取り出して常温で冷ます(余熱で65℃以上までしっかりと上がるので安心してください。)
7.パイを冷ましている間に氷水でゼラチンを戻す。鍋にオニオンコンソメと水を入れ沸かし漉した後、水気を切ったゼラチンを入れて良く溶かす。(沸騰しているものにゼラチンを入れてしまうと固まりにくくなるため沸騰しているものに入れるのはNG。)
できたオニオンコンソメスープは常温で冷まし、パイの粗熱が取れたら中央に穴を空けオニオンコンソメを流し入れる。冷蔵庫に入れてスープを冷やし固める。
完全に冷えてジュが固まったら出来上がりです。切り分けて美味しくいただいちゃいましょう^^
サラダを横に添え、ピクルスと粒マスタードを添えると更にいいですね♪
今日のくくり
時間のかかるレシピですが、失敗は少なくしかも冷蔵庫に入れて保存状態が良ければ1週間は平気で持ちます。
こういうパテをつかった料理は寝かせれば寝かせるほど味が落ち着いて美味しくなるので、プロの料理人はパテをラードで覆って10日してから使う人がザラにいます。
作りなれてきたら季節によってキノコを炒めて入れるのも良いし、好きなナッツを入れて作ってみるのもまた楽しいですよ。
最近は時短時短とパパッと作れちゃうレシピが至高!ともてはやされますが、時間をかけて作ってみることをオススメします。時短料理には無い骨太の料理を食べるともう時短料理には戻れないくらい病み付きになります。
それでは今日もディ・モールト楽しい料理を!