今回はみんな大好きてんぷら丼です。てんぷらで一番怖いのは油がハネること。そして材料がポンポンとはじけて火傷をしてしまうこと。
今回はこのはじけを防ぐ方法と、少しのコツで専門店と同じような花咲く衣に大変身する技を一緒にご紹介します。
家庭でも簡単にできるコツなので今回覚えていってください。今回の講師は安定の岡本健二先生です。
Here we go!
目次
天ぷらは日本が世界に誇るファストフード
天婦羅と書いてしまえば高級なイメージになるてんぷらですが、元来庶民の食べ物。
もともと江戸時代の露店でブームになったゴマ揚げって言う、薄い小麦粉の衣を付けた魚貝をごま油で揚げるのがてんぷらのルーツで、
現代日本でごま油を配合した油で揚げるのはこの流れからの名残なんでしょうね。
このてんぷらの誕生から程なくして更に進化を遂げます。
座敷で調理人が揚げて出す高級志向派のものと、更にお手軽に食べることを目的として露店先で、ほかほかの白ご飯にてんぷらをのせ丼ツユをかけて提供したもの。いわゆる天丼として派生していきました。
昔の偉人達もこの天丼を食べて腹を満たしてきたんだなと考えると天ぷら丼にはロマンが詰まってますねぇ・・・
てんぷらのコツ
少しのコツでお店の味になります。
エビを下ごしらえするポイント
今回はえびを使いますが、このエビの背ワタをとる時は必ず殻が付いた状態で取る事。むいた状態で取ってしまうと身がグズグズに崩れちゃいます。これでは折角のぷりぷり感を損なってしまいます。
そしてむいたエビの尻尾の先を切り落とすこと。まじめな職人さんが営んでいるお店なんかでは尻尾の先がナナメに切ってある海老天を見かけますがあれは単なる飾り切りではありません。
家庭でエビのてんぷらを作るときに破裂音と共に油が飛び散ってしまい火傷をしえしまった経験はありませんか?
あれはこの尻尾の中にある水分が原因。
尻尾の先を切り落として中身の水分を抜いておかないと揚げたときにポンポンはじけてしまって火傷の原因になります。
衣の材料は全部冷蔵庫で冷やしサックリ混ぜる
衣に使う小麦粉はグルテンが含まれており、温度が常温付近になるとこのグルテンが本領発揮してしまい衣のあのサクッという食感が無くなってフリッターみたいになってしまいます。
きちんと冷蔵庫で材料を冷やしてグルテンの働きを抑制してやることが大切です。
もし、冷やす時間が無い場合はキンキンに冷えた氷水と冷蔵庫から出したての冷たい卵で衣を合わせるのが良いですよ。
そして粉をあわせる時もサックリと合わせてグルテンを出さないのがポイントです。
薄力粉だけでなく片栗粉も入れる
片栗粉を入れるのは小麦粉の中にあるグルテンの量を減らし、サクサク食感を長続きさせるためです。
薄力粉だけでも問題なく出来ますが、片栗粉も入れてやるといい仕事しますよ。
衣を付ける前に材料に粉をつける
てんぷらの衣のサクサク感を出すためには衣を薄く付ける必要があります。天麩羅屋さんの衣はびっくりするくらいシャバシャバで水に近いです。こんなん食材に乗るのか?と不安になりますが、これを解決するのが打ち粉もしくは下粉です。
このシャバシャバ衣をしっかりと食材にくっつけるために、事前に材料に薄く粉をまぶしてから衣のドレスを着せてあげましょう。
エビを揚げる時は手前から奥にスライドさせながら入れる
エビを手前から奥に向かってスライドさせながら入れることによって衣に動きが生まれ、あのエッジの効いた衣のベースが出来上がります。
このベースのエビに上から衣生地を手で掴み、かけてあげると華が咲いたような綺麗な海老天の衣が出来上がります。
ゴワゴワの海老天になりそうで不安かも知れませんが大丈夫。必要な衣はエビに乗って、それ以外の衣は揚げ玉となって自然にエビから離れていきます。
この羽の生えた海老天の衣が丼ツユを吸って一層美味しさを増す訳です。
イメージとしては、最初スライドしながら入れた時に出来る衣が木の枝部分で、後から上から乗せる衣は、木の枝に葉をつけて行く様な感じです。
揚げ油はたっぷり入れる
揚げ油は鍋に対してたっぷり用意してください。油が少ないとエビを入れた時に油の温度がグンッと下がってしまうために衣がベチャっとなってしまいます。
材料(2人分)
材料はいたってシンプル。メインのエビにししとうのみ!シンプルこの上ないです。
野菜はししとうで無くとも季節の野菜があればお好みで変えてもらえばOKです。
今の時期だとさつまいもやレンコン、カボチャなんか最高ですね。
揚げ油はサラダ油でも良いですし、ごま油の風味豊かな天婦羅が好きな方はごま油をお好みで入れると良いですよ。
- エビ ・・・・6尾
- ししとう ・・・・4本
- アツアツのご飯 ・・・・お好みの量
■天婦羅衣
- 水 ・・・・200ml
- 卵黄 ・・・・1個
- 薄力粉 ・・・・120g
- 片栗粉 ・・・・20g
■丼つゆ
- みりん ・・・・50ml
- 濃口しょうゆ ・・・・50ml
- 本だし顆粒(分量の水で戻したもの)・・・・200ml
打ち粉用の薄力粉 ・・・・適量
揚げ油 ・・・・適量
作り方
1.えびは頭のほうから数えて2節目から3節目の背の部分に竹串を差込み、串を刺した部分の上から親指を軽く当て背ワタをピーッと取り除く。背ワタの中にドロとか無ければ背ワタが取れなかったり、半透明で綺麗な背ワタが取れます。
背ワタを抜いたら殻をむく。尾の先を残して全部むいてもらってOK。ファミレスなんかは尾の前にある殻はそのまま付いてることが多いですが尻尾が千切れてしまうのを防ぐために最後の関節は残してあります。
2.むいたエビを水で洗って殻の下にある独特な臭みを洗い流す。このニオイが苦手な方は水で洗う前に片栗粉を入れて良く揉んで臭みを取ってあげる方法と、酒で洗って落としてやる方法がありますので好みでチョイスしてください^^
どの方法も最後に水でよく洗い流したあとに水気を良く拭いてください。
3.エビの尻尾をナナメにジョキッとはさみで切り落とした後尻尾を広げ、中に入っている水分を包丁でしごいて取り出す。
4.エビの身のお腹の部分を上にし、身の半分まで包丁で頭のほうから4ヶ所切れ込みを縦に入れる。ナナメでもかまいません。
切れ込みを入れたら今度は背の部分を上にしまっすぐに伸ばし、上から両手の指でギュッと押さえてエビの身の繊維を断つ。
ギュッと押さえる度にエビの身からプチップチッと音がします。これが身の繊維が切れている合図。
最後に指にエビを乗せてエビ反りさせて指にグルッと巻きつくようなら繊維が完全に切れてビョーンと伸びてます。
こうすることでまっすぐな海老天になります。
5.ししとうはヘタの枝の部分を切り落とし、包丁で縦に切り込みを入れます。こうすることではじけるのを防ぐことが出来ます。
あと一つ注意点として、市販されているししとうは問題ないと思いますが、家庭で栽培しているししとうは先祖がえりしていて唐辛子と同じ威力を持っているものがあるんで注意してください。中身の種が少なければ少ないほど激辛です汗
6.丼ツユを作る。鍋にみりんを入れて中火にかけ、手で揮発するアルコールを横に仰いで飛ばしながら飛ばす。
こうしないと周りから火がついてしまいます。
火をつけてフランベする方法もあるんですが危ないのです。私はこれで駆け出しのころ鼻毛を全焼しました(笑)
少し煮詰まってトロミがついて、立ち上る香りを嗅いでみてアルコール臭さが無いようならOKです。
7.6の鍋にダシと濃口しょうゆを入れて中火にかけてひと煮立ち。これで丼ツユは完成。
8.キンキンに冷えた水に卵黄を入れて良く溶き、小麦粉、片栗粉を入れた後に泡だて器で上から水面を軽く叩くような感じでザックリと粉を溶く。完全に粉が溶けきらずに少しダマがのこっているような状態で全然OKです。
9.食材に打ち粉(下粉)をし、衣をつけて170℃の揚げ油で揚げる。
温度計でみるのがベストですが、無い場合には先ほどの衣を揚げ油に落としてみて一瞬底まで沈んだのがすぐに浮き上がってくる状態が大体170℃前後の目安です。
材料を手前から奥にスライドさせながら入れると衣に動きが出て独特のあのエッジの効いた衣の芯の部分が出来上がります。ここに衣を手で掴んでエビの上に流してやるとシャンパンゴールドのドレスをまとった海老天になります。
揚げ上がりの目安としては、エビから出てくる泡が少なくなってきたもしくはエビを箸で持ってみてブルブルブルッと細やかなバイブレーションが箸から手に伝わってくると揚げ上がりサインです。
ししとうはスライド揚げしなくて優しく水面近くから油に落としてあげましょう。衣がカリッとクリスピーになれば揚げ上がりです。
どんぶりにアツアツの炊きたてご飯をフンワリと入れ、ご飯に温めた丼つゆをかけた後に天麩羅を立体的に載せ、更に仕上げの丼ツユをかけて完成です。
御味噌汁やお新香なんかがあると最高ですね^^
気になる味とまとめ
エビのプリップリな食感と、衣のクリスピーな部分とタレの染み込んだ部分でまた味わいが違って食べ終わるまで夢中で箸が進んでしまいます。
添えてあるししとうの独特の青い香りと、シャクシャクとした食感がまた良い箸休めになり益々どんぶりから目が離せないですね^^
みんな大好きなてんぷら丼を今晩のメインにいかがでしょうか?
次回は白身魚のベーニエです。お楽しみに^^